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Q: 何故インターネットでExhibitionを?

A: よく聞かれますが、何故美術館?何故ギャラリー?ホワイトキューブ?という問いも同時に考えなければと思いませんか?(笑)・・ このExhibitionは、通常の美術展をオンラインで配信するというものではなくて、インターネットの中で行われるものだということを大前提にして観て欲しいと思います。
私達は会話の中で、スマホで検索したり、映像を相手に見せたりすることでよりスムーズに解り合えたりしますよね?。わからない横文字を検索したりとかも。いわば、ネットに繋がっていることがごく自然です。なので、80年代以降、当然私達の感性はかなり変質してきていると思うんです。自覚してなくてもね。ネットはコミュニケーションツールですが、見方を変えると私達の脳の一部、思考回路、表現の回路の一部でもあるのですから、どうしても向き合わざるを得ないんです。
余談ですが、Amazon や YouTube 等、凄い企業、というかシステムですよね?それがなければ近い将来私たちの生活が成り立たなくなるほどのものになりそうでしょう?ですから、このExhibitionは、素朴ではあるにしても向き合った結果であって、そこから出来てきた作品から成り立っているんです。ですからネットでExhibitionを持つのは自然なことなんです。スマホから27インチ程度のモニターを想定して作っています。全画面表示にして観てくださいね。

Q: なるほど。では、個々の作品について話してもらえますか?

A: 個々の作品に具体的なコンセプトはありませんし、訴えたいことも無い。作品は単にアイディアで作られて、観られる。それ以上でも以下でも無いと思うんです。
“The Cloud” は、すごく天気の良い日、アンプの電源を入れて音楽を聞きながらタバコを吸い(iQosですが(笑)気持ちの良い時間を過ごしたときに思いついたアイディアです。モートンフェルドマンの for Bunita Marcus という曲を使ってますが、特に現代音楽ファンではないのですが、感じるところのある良い演奏だったので。
”the Theater” は、2019年の愛知トリエンナーレ騒動の時、「現代Art は政治的である。」というような発言があって、政治的な題材は複雑で好きではないんですが考えてみたものです。
“from Over there”は、いくつかの画面に、YouTube や Vimeo からの映像が反映されます。それは、他者の映像だったり、自分のものもあるのですが・・おかしな言い方になりますが、私が向こうからくるものを発信する、というか、表現する主体が私というより、回路、ネットワークにあるような・・。
”the Cloud”が、発想というなら、これ等は反対方向ですかね。それと、もう一つ面白いのは、これ等はハイパーテキストを書く、ということで成り立つということです。当然ながらそれは撮影する、描く、ということを最小化します。HTMLやCSSは比較的簡単ですが、それでも私のような素人には相当高い壁で、ものすごく時間がかかる。 うまく言えませんが、プロジェクターを数百台操作して、アミューズメントワールドを作り出すのとは真逆のものでもあるかと・・。オタクの世界?・・・(笑)。“Word”シリーズは随分前から取り組んでますが、白状すると、その間ずっと高松次郎氏の「この7つの文字」という作品が念頭にありました。面倒な話は省きますが、平面作品、絵画、写真、動画、に取り組む時に最大の問題だと思うからです。まぁ、考えなくても絵は描けますけど(笑)。日本の現代美術の、少なくとも作品制作にかかわっている限りは、歴史を大切にしたいと思います。
“Murder”は、文字通り殺人です。「正義」という名のもとの殺人、戦争、テロ、そして死刑、ですよね。人間が共同体を作り始めてから、殺人、戦争、死刑は無かったことがないですね。その残酷さ故、戦争には反対なわけですが、「極刑を望みます」という被害者の家族からの発言もあるわけです。人を殺すということはどういうことなのか、ということからのアイディアです。結論からは遠いですけど。

Q: ネット空間と現実の空間、美術館とかギャラリーとかとの関係はどう考えますか?

A: 随分昔の話ですが、ロンドンの旧テート・ギャラリーでロスコ・ルームに入りましたが、圧倒的でした。それは現前というか、リアリティーそのもので、全く日常的な空間ではなかったですね。かなり広いスペースだったように覚えてますが、実際以上に、大袈裟ですけど広大で荒凉とした、という感じを受けました。もう一つ言えば、同じ頃ギュスターブ・モローの美術館でも同じような経験をしました。こっちは、すり減った木の階段を登っていくような、古くて、広くなく薄暗い建物でしたけど・・絵と空間が一つになったようなというか・・静かなカオス?(笑)美しいと言っても良いような。
美術館やギャラリーではそういった感動が生まれるような空間を作り出せると思います。ただ、初めに言ったように時代の感性が変化してきてますから作品を飾るとか、置くとかいうのではなくて、工夫が必要かもしれませんね。まぁ、予算や美術界話を全く無視して話してますけど(笑)

Q: 最後に、今後の展開を聞かせてください。

A: 今の方法は、2017年から顕著になってきたわけで、はじめは自分でもなぜこういう作品を思いつくのか解りませんでした。今は少しずつ整理がつきつつあるのでもう少しこの方向を進めたいと思ってますが、課題も多いです。同じような考えや、オタクっぽい?サイトをリンクに加えたいので、これを読んで希望される方がいれば、CONTACTからメッセージを送ってくれれば嬉しいです。

Q: ありがとうございました。ではまた。

A: では。